子どものPTSDの理解と回復プログラム

子どものPTSDの理解と回復プログラムの実施について

 今回の熊本地震の被害を受けられた方には心からお見舞いを申し上げます。さて今回の地震を経験した人には今後PTSDの症状が表面化してくる ことが多くなると考えられます。また子どもたちにとっても同じことがいえます。今後の対策としては子どものPTSDを正しく理解し、適切な対応が必要で す。乳幼児の場合は、その保護者の緊張などによる影響が大きいと考えられますので、保護者向けの対策がまず必要です。保護者向けのプログラムも計画してい ます。そして職員に対する回復プログラムはすでに実施しました。またアフタースクールの児童にも1回目の回復プログラムを実施しました。今後も児童や園児に対して継続的に実施していく予定です。

PSTDとは

自然災害や事件・事故などに遭遇すると,恐怖や喪失体験などにより「情緒不安定」「睡眠障害」「その時の出来事を繰り返し思い出す」「原因不明の体調不良」などの症状がみられ,生活に支障をきたすことがありま す。こうした反応は誰にでも起こりうることであり,ほとんどは,時間の経過とともに自然に薄れていきます。しかし,場合によってはこのような状態が1ヵ月 以上継続する場合があります。この状態を「心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress DisorderPTSD)」と言います。

PTSDの主な症状

災害等に遭遇した後に現れることが多い反応や症状には,不安感,絶望感,ひきこもり,頭痛,腹痛,食欲不振などがあります。そのほとんどは数週間以内に軽快しますが,PTSDでは,原因となるできごとが起こってから1ヵ月以上経過しても,次の症状が見られるのが特徴です。

(1) 持続的な再体験

・体験したできごとを繰り返し思い出し,悪夢を見たりする。

・体験したできごとが目の前で起きているかのような生々しい感覚がよみがえる(フラッシュバック)。

(2) 体験を連想させるものからの回避や感情が麻痺したような症状

・体験したできごとと関係するような話題などを避けようとする。

・体験したできごとを思い出せない。

・人や物事への関心が薄らぎ,周囲と疎遠になる。

・本当はつらいのに悲しいという感情がわかない。

(3) 常に緊張し,物音や接触をこわがる。

・小さなもの音で飛び上がるように驚く,まわりで人が動くとぎょっとする。

・物事に集中できない,極端な警戒心を持つ。

・イライライする,怒りっぽくなる。

(4) 原因不明の身体不調

・眠れない。そのために日中の活動に影響が出る。

・不安を感じると手足が震えて止まらない。

・息切れがする。

PTSDの例

例1)小学生

学校からの帰り道,目の前で友達がオートバイに跳 ね飛ばされ,救急車で搬送されるところを目撃した。そのことがあってから,いつもと様子が違い,あまり話をせず,ささいなことで泣くようになった。また, 夢でうなされる,少し大きな音がするととても驚く,救急車の音を非常に嫌がる,事故の起きた道を通ろうとしない,などの症状がみられるようになった。

 

対応のポイント

1 よりそう

・子どもを孤立させず,保護者やサポートできる人ができるだけそばについていてあげることが最も大切です。

2 話を聞く

・気持ちによりそいながら話しを聞くだけでよいのです。誰かが話を聞いてくれるだけで心は軽くなります。

3 言うべきでない言葉

・絶対に使っていけないわけではありません。ただ,PTSDに陥っている状態の子どもに対して,励ましのつもりで使った言葉がかえって子どもを追い込んでしまうこともありますので注意が必要です。

「絶対治るからもっと頑張れ」

「これくらいのことで落ち込んでどうするの」

「いつまでも泣いていてしょうがいないよ」

「嫌なことは早く忘れて先のことを考えなくちゃ」

「そんなことでは亡くなった家族が浮かばれないよ」

4 場合によって専門機関での治療を

・症状が改善せず長期に持続するような場合や悪化するような場合には,専門機関での治療を受けることも必要です。